稲村ヶ崎~鎌倉 2017.10.25


コノテガシワ

ヒノキ科コノテガシワ属(常緑針葉高木)

中国原産で江戸中期に移入され、庭木や公園樹として植えられる。葉は鱗片状で枝を直立させる。葉の裏表がわかりにくい。材は芳香があり、仏像などにも使われる。

若い枝と葉を乾燥させたものは’側柏葉’で、吐血、喀血、腸出血、月経過多、止瀉などに利用。実の中の種子は’柏子仁’で、滋養強壮、老衰などに利用。また枝先を数本束ねて湯浴剤として、ストレス解消、神経痛、リウマチなどに利用できる

イブキ(ビャクシン)

ヒノキ科ビャクシン属(常緑針葉高木)

海岸近くに自生するほか、庭木にも利用される。雌雄異株で雄花は黄褐色、雌花は淡白緑色。幹は赤褐色で縦に剥がれる。果実は球形で翌年の10月に黒熟し、白い粉を被る。この果実は、薬酒として疲労回復等に利用できる。葉は、鱗片状のものと針状のものが混ざり、香りも良いため、煮汁を浴湯料とし、ストレス解消、神経痛、リウマチなどに効用がある

イヌマキ

マキ科マキ属(常緑針葉高木)

暖地の山地に自生し、樹皮は灰色がかった褐色、浅く縦に裂ける。葉は幅広線形で、らせん状に互生する。庭木の他、材は建築、器具、桶材などに利用される。浴湯料としても利用できる。9〜10月に、赤い花托の上に緑の球果をつける。赤い花托は甘く食べられる

ヒノキ

ヒノキ科ヒノキ属(常緑針葉高木)

福島県以西の本州と、四国、九州に自生する他、スギと並び広く植林されている。樹皮は赤褐色で幅広く縦に裂け、はがれやすい。葉は鱗片状で交互に対生し、先端が尖り裏面の気孔線がY字形をしている。材は建築、器具、彫刻材、桶材などに利用される。香りも良く枝先を浴湯料に利用できる。10〜11月に球形の果実がなり、薬酒にもできる

サワラ

ヒノキ科ヒノキ属(常緑針葉高木)

樹皮は赤褐色で縦に薄く剥がれる。枝を水平に広げ円錐形の樹冠になる。葉は鱗片状でヒノキより小さく先端が尖る。裏面の気孔線がしばしばX字形となるる。材は建築、器具、桶材、船舶材などに利用。枝先は浴湯料に利用できる


センジュ

ヒノキ科コノテガシワ属(常緑針葉低木)

中国原産で、日本には江戸時代中期に渡来したコノテガシワの園芸品種。円錐形の樹形になり、 乾燥にやや弱い。母種のコノテガシワ同様、葉と果実に精油を含み、強壮や止血の効果がある

スギ

スギ科スギ属(常緑針葉高木)

日本特産種で各地に自生する他、広く植林されている。樹皮は赤褐色で縦に裂け、よく枝分かれして楕円状円錐形の樹冠になる。葉は針形で鎌形に曲がりらせん状に密生。庭木、街路樹の他、材は建築、器具、楽器、桶材、経木など。枝先を浴湯料に利用できるほか、薬酒にもできる

アカマツ

マツ科マツ属(常緑針葉高木)

山地性、内陸性でヤセ地や乾燥地にも適応する。樹皮が赤褐色で成長と共に肥厚し、亀甲状の裂けめができる。樹皮の色や、細くしなやかなところからメマツ(女松)とも呼ばれる。薬酒にして中風や高血圧の予防、血管壁の強化に効果があるほか、浴湯料として煎じ液を利用できる。精油成分で気分が安らぎストレス解消、神経痛、リウマチなどに。枝は樹脂でヤニがあるため利用しない方がよい

クロマツ

マツ科マツ属(常緑針葉高木)

海辺に自生する他、乾湿耐久性があり潮風に強いため、防風林、防潮、防砂林として植林される。樹皮は灰黒色で次第に肥厚し、亀甲状に深い裂けめができる他、表皮が不規則に剝落する。樹皮の色や太く硬い葉からオマツ(男松)とも呼ばれる。薬酒や浴湯料としてアカマツと同じように利用できる

シラカシ

ブナ科コナラ属(常緑広葉高木)

関東で多く、公園や防風林、生け垣などに利用。葉表は光沢があり、裏は白っぽく形は細長い。実は半分が殻斗(お皿)で6〜8本の輪がある。樹皮は黒っぽい緑色でなめらか


タブノキ

クスノキ科タブノキ属(常緑広葉高木)

別名イヌグス  暖地の海沿いに多い。樹形は根元から枝分かれしてまとまり大木になりやすい。5〜6月の若葉の時期に黄緑色の小花をつけ、花後、球形の果実を結び、8〜9月に黒紫色に熟す。香材としても利用される

ナギ

マキ科マキ属(常緑針葉高木)

暖かい山地に自生するほか、神木として神社などに植えられる。葉は卵形~楕円状披針形で厚みがある。樹皮は紫褐色でウロコ状に剥がれ、その部分が赤褐色にみえる

ヤナギ

ヤナギ科ヤナギ属(落葉高木・低木)

主に北半球の暖帯〜寒帯に自生し、約350種ある。雌雄異株。  川岸に生えるケショウヤナギ、原始的なマルバヤナギ、中国原産のシダレヤナギやウンリュウヤナギ、広く栽培されているコウリヤナギは、枝で行李やバスケットを作り、切り花などにされる。また各種の材はパルプ、軸木、箱などにも利用されている

ノキシノブ

ウラボシ科ノキシノブ属

常緑の着生シダ植物で、根茎が横に伸び樹皮などにまといついて成長する。葉裏には円形の胞子のうがある。陰干ししたものを生薬の瓦韋(がい)と言い、煎じて利尿、むくみなどに利用。外用には浸出油をできもの、腫れものなどに利用する

カラタチ

ミカン科カラタチ属(常緑低~小高木)

古い時代に渡来し、現在では暖地で自生もみられる。枝に長い棘があり、4〜5月に芳香のある白い5弁花をつける。花後、径3㎝程の球果を結び冬、黄熟する。浴湯料として、輪切りにした実を用い、ものを血行促進、冷え性、神経痛、リウマチなどに利用できる。また乾燥した果実の煎腋を健胃に用いる用法もある

 


キリ

ノウゼンカズラ科キリ属(落葉広葉高木)

葉は、10〜20㎝になり幅広く浅い切れ込みが入り卵形〜五角形。葉裏は粘りのある毛が生える。材は吸湿せず軽く火に強いため箪笥、簀子、下駄、箱、琴などに利用。5〜6月に紫色の筒形の花を咲かせ、9〜10月に実を結ぶ。

樹皮・葉を天日干しし、煎じ液を痔や打撲などに塗布する他、洗髪して養毛にも利用できる。果実を乾燥させ煎じて気管支炎に、根・根皮を煎じてリウマチなどに外用する

ウバメガシ

ブナ科コナラ属(常緑広葉低木~高木)

海沿いの暖かい地域に自生し、公園、街路樹、庭木、生け垣などに利用。材からは堅く良質な備長炭が作られる。葉はギザギザがあり広楕円形。樹皮は黒褐色で、老木では次第に縦に浅い裂け目が入りやすい

サンゴジュ

スイカズラ科ガマズミ属(常緑小~高木)

暖地の沿海部に自生するが、水分の多い葉や枝を持つため防火樹として、庭木や生垣に植えられる。秋に結ぶ綺麗な赤い実がサンゴのように見えることが名前の由来

イヌガヤ

イヌガヤ科イヌガヤ属(常緑針葉小高木)

カヤに似ているが、葉質は柔らかく、実は苦くて食用できない。樹皮は暗褐色で縦に浅く裂ける。
果実には油が多くかつて灯明に利用された。
材は緻密で粘りがあり硬く、耐久性に優れているため、縄文時代の遺跡からはイヌガヤの弓が見つかっている。
葉の成分のホモハリングトニンは、慢性骨髄性白血病の抗がん剤として利用されている

クサギ

クマツヅラ科クサギ属

(落葉小高木)8~9月頃に白色の花をつけ、その後球形の果実を結び晩秋に藍色に熟す。果実は染料として利用。葉には臭気があるが、茹でたり蒸したりすると消える。若葉を塩ひとつまみ入れた熱湯で茹で、冷水にさらしてからおひたしなどに利用


マルバシャリンバイ

バラ科シャリンバイ属 

(常緑低木)4〜7月に芳香がある白色の5弁花をつける。花後球形の果実を結び、10〜12月に黒熟する。苦味があるが果実酒にすると美味。近縁のシャリンバイの樹皮は大島紬の染料として利用される

ユキヨモギ

キク科ヨモギ属

海岸の岩場、草地に自生する多年草で、花期は10〜11月。葉全体に毛が密生していて、全体的に白い。湘南地方の海辺のみに分布する固有種で、最近では交雑種が増え、絶滅が危惧される。

柔らかく上品な香りで、和菓子にも利用されてきた

カジイチゴ

バラ科キイチゴ属

(落葉低木)海辺に自生するほか、庭木としても植えられる。4~5月に枝先に径3~4cmの白色5弁花をつけ、花後球形の果実を結んで黄熟する。この熟果は甘く、生食のほかジャムやジュース、シロップなどに利用

アシタバ

セリ科シシウド属

海岸の草やぶ、林の縁に生える多年草。葉柄や茎を切ると黄色の乳液を分泌。7~10月に大型の複散形花序を出し、淡黄色の小さな5弁花をつける。

抗菌、抗酸化作用、βカロテン等ビタミン、ミネラルが豊富。

花や種は天ぷらにしてもよい。また花・種・根は薬酒に利用できる。新芽や、ツヤのある若葉は苦みやくせもなく美味。おひたし、白和え、てんぷらなど。また葉と根は薬茶・浴湯料としても利用

クコ

ナス科クコ属(落葉低木)陽当たりのよい海辺や川の土手などに生え、根ぎわから束生して群生しやすい。

8~11月に淡紫色~赤紫色の5弁花を沢山つけ、花後楕円形の液果を結び、10~12月に紅熟する。この果実(枸杞子)をクコ酒にし、疲労回復、新陳代謝促進、強精、美容などに利用するほか、根皮(地骨皮)を消炎、利尿などに用いる。また葉(枸杞葉)は高血圧の予防に効果がある


ナンテンハギ

マメ科ソラマメ属

平地から山地までの陽当たりのよい草地や土手などに群生する。3〜5月の若芽を素揚げしてビールのお供に。マメの様な味。別名アズキナともいう。お浸しでも美味

ヒナタイノコヅチ

ヒユ科イノコヅチ属

葉は対生で短い柄がある。夏に細い花穂に淡緑色の小花をつける。秋の熟果は、人や動物にくっついて遠くまで運ばれる。

秋〜冬、地上部が枯れたら根を掘り採り、水洗いし、天日干ししたものを生薬で牛膝と言う。利尿、浄血、月経不順、浮腫、リューマチ、脚気などに利用。妊婦や胃疾患のある人は利用を避ける

ツワブキ

キク科ツワブキ属

海岸の岩場や崖、藪や林内の湿った場所に生える常緑性の多年草。葉は厚くて硬く光沢があり、葉柄は詰まっている。1〜6月まで収穫でき、毛をかぶった若葉や葉柄はアクも少なく柔らかくて美味。10月頃の根茎を刻み天日干ししたものを橐吾葉(たくごよう)と言い、健胃、食あたり、下痢、魚中毒などに利用。外用として化膿や湿疹に、生葉をあぶったものを貼って利用する

ハマボッス

サクラソウ科オカトラノオ属

海辺に生える2年草で、5~6月に咲く花(花序)の様子が法具の払子に似ているため、この名前がついた。花は香りがとても良いが食用や薬用にはならない

イソギク

キク科キク属

房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島の海岸部に自生する多年草。葉の裏面が綿毛に被われ、葉の緑が白くみえる。香りが強いため、食用だけでなく浴湯料や薬茶にも適している


ウツギ

ユキノシタ科ウツギ属(落葉低木)

山野に見られる他、庭木にも利用される。(別名ウノハナ)根元から枝分かれし、枝の内側は空洞。5〜6月に白色の5弁花を咲かせる。10月頃、中央が窪んだ灰緑色の実をつける。開花期の葉、9〜10月の果実を乾燥させたものを溲疏(そうじょ)と言い、利尿などに利用

マユミ

ニシキギ科ニシキギ属(落葉低木〜小高木)

山野に自生するほか、庭木や公園樹として植えられ、かつて弓を作ったことが名前の由来。材は緻密で木工品にも向く。5〜6月に黄緑の小さな花を咲かせ、10〜11月に淡赤色の実をつける。

熟した果皮や種子は有毒な脂肪油を含み、昔は頭のシラミ駆除に利用された

ナンバンギセル

ハマウツボ科ナンバンギセル属

ススキ、ミョウガ、オカボ、サトウキビなどの根に寄生。7~10月に、15~20cmの花柄を伸ばし、先端に煙管(キセル)の形に似た、淡紅紫色の花をつける。生薬名を「野菰」と言い花期に全草を天日干しし、強壮や、喉の痛みに煎じて用いる

ハマナデシコ(種)

ナデシコ科ナデシコ属

海岸部に生える多年草。葉は厚みと照りがあり、6〜11月に紅紫色の花を咲かせる。近縁のカワラナデシコの種子は、瞿麦子(クバクシ)と言い、利尿や通経に用いるため、本種の種子も同様の作用があると思われる(妊婦は利用不可)

 

ハス

スイレン科ハス属

池沼や水田などで栽培される水生多年草。根茎は泥中で分岐し、肥大する。春に芽生え、浮葉を出し、その後成葉と花茎を立てる。7〜8月の早朝、白〜ピンク色の花を咲かせ、昼には閉じる。根茎と種子を食用とする他、蓮実(れんじつ)・蓮肉(れんにく)は強壮、止瀉(ししゃ)、鎮静、健胃、多夢、遺精、下痢、腰気にその粉末を用いる。

種皮:蓮衣(れんい)は強壮、葉柄と花柄:荷梗(かこう)は解熱、葉:荷葉(かよう)は下痢止め・鼻血・血便の止血、花:蓮花(れんか)は止血、雄ずい:蓮鬚(れんしゅ)は強壮に用いられる


ヒヨドリジョウゴ(毒)

ナス科ナス属

山地や山裾に自生するつる性の多年草。
全草特に果実に有毒成分でステロイド系アルカロイド配糖体ソラニンを含むため注意。
中国では、全草を乾燥させ、白毛藤(パイマオティン)と呼び、解毒、解熱、利尿に利用し、ガンや急性黄疸型肝炎に用いられている