実践植物教室「晩秋の海辺の有用植物@三浦半島」2017.11.11


ノビル

ユリ科ネギ属

田畑のあぜ、土手、路傍などに群生する多年草。晩秋に芽を出し越冬し、翌年初夏に花をつけ、夏に地上部が枯れる。1~10月に若葉・鱗茎を採取し、全草を食用できる。アクもなく様々な料理に利用できる。また鱗茎を潰した汁は虫刺されのかゆみ止めや腫れ物の痛みに外用できる

キヅタ(毒)

ウコギ科キヅタ属

山地、野原、海辺に自生する常緑つる性木本で、茎から気根を出し、木や岩に這い上がり、長く伸びる。有毒で、サポニン(ヘデリン)を含むが、 はれもの、寄生性皮膚病に生の葉をすり潰して、ごま油を練り合わせ外用で利用できる

ツワブキ

キク科ツワブキ属

海岸の岩場や崖、藪や林内の湿った場所に生える常緑性の多年草。葉は厚くて硬く光沢があり、葉柄は詰まっている。通年収穫でき、毛をかぶった若葉や葉柄はアクも少なく柔らかくて美味。10月頃の根茎を刻み天日干ししたものを橐吾葉(たくごよう)と言い、健胃、食あたり、下痢、魚中毒などに利用。外用として化膿や湿疹に、生葉をあぶったものを貼って利用する

アオツヅラフジ

ツヅラフジ科アオツヅラフジ属

低山や草原などに自生する落葉性つる植物。茎は、緑色で細毛があり、巻きつきながら生長する。卵形の葉は互生し、細毛がある。花は雌雄異株で7~8月に円錐花序をだし、黄白色の小花を多数つける。秋に球形の果実を結び、熟すと黒紫色になる。根茎を乾燥させたものを生薬で木防已(もくぼうい)と言う。オオツヅラフジ(防已(ぼうい))の同類で、消炎、利尿、鎮痛薬としてリューマチ、神経痛、関節炎のむくみに用いる。木防已には強い鎮痛作用がある

マルバアキグミ

グミ科グミ属(落葉低木)

アキグミの変種で、海岸のやぶや崖地に生える。春に白~薄黄色の小さい花を咲かせる。果実は6~7mmの球形で、秋~冬に朱赤色に熟す。熟果は生食できるほか、果実酒にして新陳代謝促進、疲労回復、食欲増進、美容などに利用


ヒヨドリジョウゴ(毒)

ナス科ナス属

山地や山裾に自生するつる性の多年草。 全草特に果実に有毒成分のステロイド系アルカロイド配糖体ソラニンを含むため注意。 中国では、全草を乾燥させたものを、白毛藤(パイマオティン)と呼び、解毒、解熱、利尿に利用し、ヘルペスや急性黄疸型肝炎に用いられている

カラスウリ

ウリ科カラスウリ属

山野の林や藪に生えるつる性多年草。雌雄異株。8~9月、夕方に白く裂片の先がレースのような綺麗な花を咲かせる。若葉と緑果を食用する。秋~冬に根を掘り採り、洗って輪切りにし、天日干しして中心を除いたものを生薬で王瓜根(おうがこん)と言う。種子は、熟した果実より取り出し、天日で乾燥させたものを生薬で、王瓜子(おうがし)、王瓜仁(おうがにん)と言う。根にはデンプンを多く含む。発熱時ののどの渇きや、熱性の便秘、黄疸、利尿に王瓜根を煎じて用いる。催乳には、王瓜子を煎じて用いる(妊婦使用不可)。果実の果肉は粘滑性で、しもやけ、ひびなどに直接皮膚にすり込んで用いる。昔は根のでんぷん質を利用し、テンカフ(天花粉)の代用として利用していた

ハマカンゾウ

ユリ科ワスレグサ属

同科ヤブカンゾウのつぼみは金針菜として薬膳などによく使われる。鉄分豊富。冬期〜春先にかけての利用法は、葉先を落とした白い茎をさっと茹で、酢味噌和えにすると甘味があり癖もなく、とても美味

スカシユリ

ユリ科ユリ属

海岸の岩場、崖地に生える多年草。6〜8月に橙黄色の花をつける。根はユリ根として食用できる

ヨシ(アシ)

イネ科ヨシ属

河川下流域などの湿地帯に自生し、根茎が地下に長く伸び繁殖する。 根茎は、細長く中空の円柱形で多数の節があり、ひげ根が出る。 茎は高さ2~3メートルになり、花は、8~9月頃、20~50センチの大型の円錐花序につける。地上部が枯れた冬に根茎を採取し、天日で乾燥させたものを生薬で蘆根(ろこん)と言う。根茎にペントザン、アスパラギン、糖質などを含み、 吐き気止め、むくみ、利尿、止血、消炎などに用いる。薬茶として、消化不良、肝臓病、黄疸、むくみなどに利用できる。生の根茎を砕いた汁は、吐き気や胃の熱をとり、尿意の調整などに利用できる


クコ

ナス科クコ属(落葉低木)

陽当たりのよい海辺や川の土手などに生え、根ぎわから束生して群生しやすい。 8~11月に淡紫色~赤紫色の5弁花を沢山つけ、花後楕円形の液果を結び、10~12月に紅熟する。この果実(枸杞子)をはじめ陰干しし、表面にしわがでてきたら天日で乾燥させる。料理やお茶、デザートに利用する他、クコ酒にし、疲労回復、新陳代謝促進、強精、美容などに利用する。根皮を乾燥させた(地骨皮)を消炎、利尿、血糖降下、降圧、解熱、寝汗、口渇、咳喘、吐血などに用いる。また葉を日干ししたもの(枸杞葉)はビタミンB1、B2、C、ルチン、ベタイン等を豊富に含み、高血圧症、動脈硬化、頭痛、肩こり、疲労回復に効果がある

シロヨメナ

キク科ヨメナ属

草地、畑地、土手などに生える多年草で、湿った場所を好む。7~10月に白い花を沢山つける。若葉と茎を食用にする他、生葉の汁は虫刺されに外用できる。また草木染や浴湯料としても利用できる

ベニバナボロギク

キク科ベニバナボロギク属

アフリカ原産の帰化植物で、伐採地や空き地などに生える1年草。8~10月頃、先端が朱紅色をした筒状花をつけ、花頭は下向きに垂れ下がる。若葉と茎を食用にする。春菊のような味で美味

シロダモ

クスノキ科シロダモ属(常緑広葉高木)

東北地方南部以西の林などに自生する。葉の表面はツヤがあり、裏面は白い。10~11月頃黄褐色の小花を咲かせ、実は翌年の10~11月の晩秋に赤く熟す。葉や実には芳香がある

ボタンボウフウ

セリ科カワラボウフウ属

海岸の崖地や岩場に生える常緑性の多年草。関東地方以西の本州と、四国、九州、沖縄に分布する。別名長命草。岩の割れ目や砂礫中にゴボウのような太く長い根を伸ばし、地上部は根際から四方に葉を広げ、60~100㎝内外の草丈になる。6~9月頃茎先に複散花序を出し、小さな白い5弁花を沢山つける。V.A、B2、B6、C、E、カロテン、ポリフェノール、カルシウム、鉄等が豊富で、疲労回復、強壮、高血圧予防、健胃、新陳代謝促進に効果がある。セリ科特有の強い芳香があり、沖縄ではヤギ汁など癖の強いものと一緒に調理される。根は洗って輪切りにしたものを数日乾燥させ、薬酒・薬茶・浴湯料にする


アシタバ

セリ科シシウド属

海岸の草やぶ、林の縁に生える多年草。葉柄や茎を切ると黄色の乳液を分泌。7~10月に大型の複散形花序を出し、淡黄色の小さな5弁花をつける。 抗菌、抗酸化作用、βカロテン等ビタミン、ミネラルが豊富。 花や種は天ぷらにしてもよい。また花・種・根は薬酒に利用できる。新芽や、ツヤのある若葉は苦みやくせもなく美味。おひたし、白和え、てんぷらなど。また葉と根は薬茶・浴湯料としても利用

トベラ

トベラ科トベラ属(常緑広葉低木)

海岸部に多くみられ、乾燥に強く庭木や公園、街路樹としても植えられている。葉は厚く光沢があり、ヘラのような楕円形をしていて乾燥すると裏側に反り返る。4~6月に白~黄色の花をつけ、11~12月に緑褐色の実を結ぶ。実は熟すと3つに割れ、赤い種がみられる。根に臭気があり、魔よけとして扉につけたことが名前の由来。葉の煎じ汁は寄生性皮膚病に外用できる

イソギク

キク科キク属

房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島の海岸部に自生する多年草。葉の裏面が綿毛に被われ、葉の緑が白くみえる。香りが強いため、食用だけでなく浴湯料や薬茶にも適している

マサキ

ニシキギ科ニシキギ属(常緑広葉低木~小高木)

海岸部に自生し、生垣などによく利用される。樹皮は灰褐色で老木になると浅く縦に裂け目が入る。葉は厚く光沢があり、縁にギザギザがある。6~7月に白緑色の小花を沢山つけ、実は11~1月に薄紅色に熟し3つに裂ける。樹皮を煎じたものは生理不順に、根を煎じたものは利尿に利用できる